JET SET KYOTO INSTORE EVENT

 京都でRECORD STORE DAYといえば、ここ『JET SET 京都店』。というよりも、日頃からアナログ・レコードの品揃えは抜群で、国内制作から輸入盤、中古まで、ショップのバイヤーが愛をこめてしっかり仕入れを担当していることがわかる品揃えは、広いワン・フロアに敷き詰められた陳列棚を誇らしく、明るく照らしているようだ。ミュージシャンやDJたちからの信頼も厚い店なので、京都にライヴにやってくると必ず立ち寄るアーティストも少なくないし、レジ・カウンターにあるターンテーブルを用いてのDJやアコースティック・ライヴも時折行われている。「このお店とお客さんのためなら!」というオープンで親密な雰囲気が『JET SET 京都店』のインストア・イベントの魅力だ。
 
 「毎日がRECORD STORE DAY」とさえ言えるようなそんな『JET SET 京都店』の2019年のRECORD STORE DAYは、やっぱり開店から賑やか。毎年店の前に長蛇の列が作られる様子も今や風物詩だが、今年も開店すぐに売り切れた商品が多数だったようだ。今年も多くのインストアDJがリレー形式で登場したが、やはり盛り上がったのは、トップバッターで登場した浦朋恵さんからキングジョーさんへと繋いだホットライン。大阪在住でバリトン・サックス/クラリネット奏者の浦朋恵さんとイラストレーターであるキングジョーさんとはもちろん昵懇の仲。カメラを向けても話しかけてもいつもニコニコ、イヤな顔一つしない浦さんの人柄が伝わってくる活気あるDJに、訪れたお客さんもレコードを探す手を止めて思わず体を揺らせてしまうほどだったが、関西随一のレコード好きであり音楽ファンであるキングジョーさんがカウンターに入り、浦さんから“バトン”を受け取ると店内はさらに佳境に! ライヴの幕間やイベントなど様々な機会にレコードを回されているキングジョーさんは、根っからの音楽好きであることが全身から伝わってくる、観ているだけでもワクワクするようなDJ。表情豊かでノリノリなスピンぶりは、もやはパフォーマーと言ってももいいほどだった。
 
 夕方にはAOR系『Light Mellow』シリーズ監修で知られる金澤寿和さんが、こちらもRECORD STORE DAYで盛り上げていた『TOWER RECORD 京都店』でのトーク出演を終えて駆けつけた。この日、『JET SET 京都店』ではテクニクスのターンテーブルも新機種「SL-1200MK7」が投入されたばかり。「同 MK3D」を今なお愛用している筆者からみてもこの上位機種は針の上げ下ろしなど操作がとてもしやすそうだ。レコードを聴く人がいる限り、ターンテーブルも不滅。そんな思いを強くして店を後にした。
 
 レコード・ショップであり音楽好きが集って情報交換ができる貴重な場であり、試聴もできるから気軽にフラリと立ち寄ってしまう『JET SET 京都店』。今年のRECORD STORE DAYが終了して1ヶ月以上経過した今も、ここでは毎日がレコードのためのお祭りなのである。

― 岡村詩野