STEREO RECORDS SPECIAL EVENT

STEREO RECORDSは毎年RSDに参加し、基本的に国内盤は全タイトル入荷されています。それって全国的に見ても珍しいそうで、客の立場としてはとてもありがたいこと。
普段は11時オープンですが、この日は9時オープン。8時過ぎにお店に到着すると、既に5組ほどのお客さんが並ばれていました。
STEREO RECORDSでは、RSD作品を一覧にした注文票を店員さんから手渡してもらえます。それを眺めながら、どれを購入しようかと最終選考。前日まで散々考えてきたのに、この時間はやっぱり何度でもワクワクしてしまいます。
注文票とにらめっこしている間にも列はじわじわと伸びていて、最終的には30名近くの方が並ばれていたように思います。
 
9時にお店がオープンすると順に商品を受け取るのですが、数枚しか入荷されないタイトルもあるため、「売り切れていませんように…!」と祈ってしまう。この気持ち、共感してくれる人も多いはず。
 
目的の作品を手に入れた方がそのまま店内に残って中古レコードを掘り始める、という流れがあまりにも自然と出来上がり、店内はみるみる人で埋まっていきます。店内には常に10~15人ほどのお客さんが滞在されていて、一日中にぎわいを感じられました。
 
RSDは元来、インディペンデントなレコード店を応援するという目的を持っています。多くのアーティストがこの日に向けてレコードを制作しますが、STEREO RECORDSはその作品を取り扱うだけでなく、毎回独自の企画を数多く打ち出しています。
 
今年は「shop in shop」と銘打ち、お店を出てすぐのところにAPPLE KNOCKERとHARMONY IN MY HEAD VINAYL STOREの2つのweb shopが出店されていました。
『お店を出てすぐ』というのが実に妙味でした。店内で買い物を済ませて帰ろうとする方たちの足が高確率で引き留められて、結局追加で数枚購入してしまう…という光景が何度も繰り広げられたのです。やっぱり、良いレコードの引力に逆らうのは至難の業。なんだか私まで嬉しくなる光景でした。
 
それから、毎年恒例のDJ BATTON。広島で活躍するDJが交代で来店し、リレーを繋ぐように、素敵な音楽で店内を華やかに彩ってくれました!DJスタイルやジャンルは様々でも、みんなSTEREO RECORDSという共通のコミュニティを持っていて、だからこそ叶うこの企画。朝日に似合う楽曲だったり、テンションをワンランク上げてくれる楽曲だったりと、時間帯や雰囲気をみながら一曲一曲丁寧に選曲された音楽が空間を満たしているのって、さりげないけれど贅沢な楽しみ方だなぁと改めて思います。今年は10名ほどのDJさんが参加されていました!
 
ちなみに、このDJ BATTONで使用されたターンテーブルは、Technicsの新機種SL-1200MK7。発売前のこの機種を、実際に使用し体験してもらうという企画も同時に行われていたのです。音質の改良だけでなく、DJで使用する際の操作性やブースのレイアウト変更なども考慮されており、レコード鑑賞はもちろんDJプレイにおいてもより扱いやすいものになっているそう。実際に使用したDJさんから「針の安定感がある」との感想もいただきました!
 
午後からはセールを狙って来店される方も増えていたかもしれません。レコード詰め放題に挑戦し、袋から溢れそうなほど詰めてもなお「もう少し粘ってもいい?」と少年のように楽しまれているおじさまがいらっしゃって、私、いつの間にか心の中で応援していました。そして、キラキラした笑顔でお会計を済まされる様子に、幸せをお裾分けしていただいきました。
 
18時からは、関東からDJ Shingen、DJ Minnesotahのおふたりをゲストとして招き、振る舞い酒をいただきながら、閉店の22時まで豪華なDJタイム。この頃になると、お仕事終わりに立ち寄られる方もいらっしゃいました。陽が落ちて空がだんだん暗くなっていくと、壁一面の大きな窓越しに街灯やネオンの光が存在感を示すようになっていきます。この光彩とDJの選曲が、何度もクロスオーバーするように感じられて、ずーっと心地よかったのも印象に残っています。
 
レコード初心者の私にとってRSDは、自分とレコードとの距離を近付けてくれるありがたいイベントです。もっと言えば、「限定のレコードを手に入れられる日」という表現では全く的を得ません。お店に行くと大勢の人が集まっていて、久々の知人に会えたり新しく知り合える人が居たり。そこで会話や笑顔が生まれたり、好きな音楽が増えたり。そういう風に広がっていく世界が嬉しくて、イベント後もまたレコード屋さんに遊びに行きたくなる節があります。レコードだけじゃなく、様々なきっかけの種を受け取っているような気がするのです。 この日も、お客さんが黙々とレコードを選ぶだけでなく、たくさんの会話と笑顔が絶えず生まれていたのが、私の好きな景色として心に残りました。
RSDを楽しめば楽しむほど、より広く、より濃密に、レコードや音楽の深みにはまってしまいそう。 この満腹感を味わってほしいから、来年は友達を誘って出かけようかな…!

― Miyaco (西風によせる歌)
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