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SOUND CHANNEL MUSIC STORE

2022/4/19

人口30万人ほどのコンパクトな町の中にレコード・ショップが6軒もあるという岩手県盛岡市。中でもSOUND CHANNELは今年12月で10周年を迎える、町のフラッグ・ショップ的な人気店だ。オール・ジャンルを扱い、在庫も豊富、通販にも力を入れた頼もしい店だが、店ではコーヒーやビールも飲めて、フラリと立ち寄った客同士が自然と親しくなっていく開かれた雰囲気が魅力だ。「人と人とを繋ぐ接着剤になれたら」と話す気さくな店長の工藤直人さんに話を訊いた。(取材・文/岡村詩野)


──今のお店をスタートさせたいきさつをおしえてください。

工藤直人(以下、K):もともと僕は音楽で食べていけたらいいなと思っていて。地元でヒップホップ系のDJもやっていたことがあるんです。でも、ちゃんと食べていくなら東京に行かなきゃな、岩手にいながらにしてできることってないかな……ってずっと考えていたんです。そんな頃にタワーレコードの盛岡店がスタッフ募集していて。まずはここだな、ここから勉強してみよう! って感じで飛び込みました。ほどなくして閉店することになったんですけど(2012年。ただし、その後タワーレコード盛岡店は閉店せずに営業は継続している)、その時に僕の先輩が“どうせなら一緒に新しい店をやらない?”って誘っていただいて。で、2012年12月にこの店をオープンしたんです。ラップをやってる友達のCDを出したりするレーベルもやっていたこともあって、その頃、そっちで本格的にやっていこうか、みたいな選択肢もあったんですけど、店舗という場所で広げていくことに魅力を感じて、それでレコード・ショップを選んだんです。


──音楽を伝えていく“場所”にこだわった。現在のSOUND CHANNELさんが音楽にまつわる多目的なショップとなっているのも、まずはそういうスペースがほしかった、ということですね。

K:そうです。SOUND CHANNELでは店の名前でレーベルもやっていたりするんです。もちろん、僕はアナログ・レコードが大好きなのでお店ではレコードが多いですけど、CDや雑貨も置いていますし、コーヒーやお酒も飲めたりします。お店を立ち上げる時、やっぱり“人と人とが繋がれる店”にならないかなってことを考えていて。簡単に言うと接着剤みたいな存在になりたかったんです。お店に来た人と人がどんどん繋がっていくような。今は全然音楽に興味がないけどお酒を飲みに来るようなお客さんもいらっしゃいますよ。当店は2013年からRECORD STORE DAYに参加しているんですが、DJの方にお店に入っていただいたり、知り合いの飲食の方がサンドウィッチを持ってきてくれたりして賑やかにインストア・イベントをやったこともありました。


──工藤さんにとって盛岡市はどういう町ですか?

K:実は僕自身はここから1時間くらい離れた八幡平市というところ出身なんです。スキー・ジャンプの小林陵侑選手と小・中・高が同じなんですよ(笑)。で、高校中退して今は盛岡にいるんですけど、業者間を超えた横のつながりが深くて、暖かい町なんですよ。しかも、人口は30万人くらいなのにレコード・ショップが当店を入れて6軒もある。人口比で最もレコ屋が多い町みたいなんです(笑)。実際、このお店を始めてそれは感じるところで、昔だったら、例えば RECORD STORE DAYの日にお目当てのレコードが出たら、ターンテーブルは持っていないけど買いにきました、みたいなお客さんもいらっしゃったんですけど、徐々にみなさんプレーヤーを入手されるようになったみたいです。レコードが浸透してきていることを実感しますね。ちなみに、僕自身は16歳の時に買ってもらったTechnicsのSLシリーズを今でも使っています。頑丈で壊れないんですよ。高額ですけど、今また製造されていますしぜひ手にしてほしい機材ですね。


──お店の売れ筋商品、ロングセラーの作品などはありますか?

K:シティ・ポップとかインディー・ポップ系のレコードは結構売れますね。あと、大瀧詠一さんが岩手県出身なので、大滝さんの作品が中古で入ってきたりするとすぐなくなりますね。地元のお客さんがそこを意識しているのかはわからないですけど、少なくとも僕自身は大滝さんの作品をちゃんと揃えていって盛り上げたいと常に考えています。でも、こうやって歌ものの音楽に触れると、もともとヒップホップ好きの僕がタワーレコード(盛岡店)でJ-POPを担当していた経験が生かされているなあって感じます。最初配属された時は“J-POPか~”ってクサっていたんですけど、綾香にハマってからだんだんと“メロディっていいなあ”って気づいていきました。今、こうしてお店をやっている上で、タワレコ時代に聴く音楽の幅が広がったのは本当に大きかったと思っています。


──そうした経験がSOUND CHANNELさんを盛岡の“接着剤”たるショップにしていった。

K:そうなってるといいですけどね。SOUND CHANNELは東日本大震災の翌年にオープンしました。震災を経て“音楽で何ができるか?”を真剣に考えるようになりました。旅行などで来盛されるお客様、イベントで来盛されるアーティストさんの方などご来店頂き、『どこから来たんですか~?』なんて気さくにお話をする中で、音楽を通じた繋がりをお店として大切にしたいと思うようになりました。
お客様との繋がりこそが実店舗を構えレコードショップをやる意味だと考え、これからもお客様にご満足して頂けるよう前進していけたらと思います。

取材・文:岡村詩野

【SOUND CHANNEL MUSIC STORE】
■住所 岩手県盛岡市菜園2-1-9 吉田ビル2F(盛岡駅から徒歩10分 駐車場なし)
■電話番号 019-6-1-6723
■営業時間 11:00~19:00(定休日なし)
■取扱ジャンル オールジャンルの新譜、USEDのRECORD・CD
■在庫数 針やクリーナーなどのアクセサリーなど取り扱っております

盛岡菜園に落ち着きのある店舗内にオールジャンルのCD、レコード、音楽関連のアパレルなど取り揃えております。
音楽がキーワードな多目的ショップとして、地域密着型な展開に合わせレーベル運営を含めた音楽発信地として
人と人が繋げるミュージックストア。

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