取材・文:二木 信
写真:沼田 学
取材協力:ELLA RECORDS VINTAGE
──まずRSDの印象と、アンバサダーのお話を受けた際の率直な感想を聞かせてもらえますか。
DJ KOCO: RSDが日本に入って来たときはレコード屋さんに行列ができていた記憶がありますね。RSD限定のレコードが出るし、チェックするのが定着していたんですけど、去年と一昨年はDJで海外に行っていて、日本にいなかったのかな。「何が出てんのかな?」って気になって、友達に訊いたりしていました。そんなRSDのアンバサダーに僕を選んでくれたことに正直驚きました。これまでは著名人の方がやられていましたし。素直に嬉しいですよ。僕、レコードが大好きだから。
――今回のRSDに合わせて、まさにKOCOさんが限定の7インチを出します。ブラジルのシンガー/ピアニストのTania Mariaの「Made In New York」という曲のカヴァーです。3人組のジャズ・バンド、45trioといっしょにこの曲をカヴァーしたのはなぜですか?
DJ KOCO: あまり語り過ぎると種明かしになってしまうけど、45 KINGがプロデュースしたQueen Latifahの「How Do I Love Thee」でサンプリングされているんです。僕、その曲が大好きで。45trioといっしょに曲を作れるというお話をもらったときにこの曲をやりたいとすぐ思いついて。
――2024年にご自身名義の最初の7インチを作ったときは、45trioとMalcolm McLarenの「World's Famous」をカヴァーしています。今回はその第二弾になります。
DJ KOCO: いまとなれば音楽は何でも好きだけど、音楽の入りはヒップホップだから、そこには強い思い入れがありますね。もちろんただ聴いてもらうのも嬉しいですけど、DJにプレイしてもらいたいというのが前提にあって。だから、BPMが速めで、踊れる曲にしたかった。いろんなジャンルのDJがプレイできるような楽曲にしたかったんです。
――そもそも7インチでDJをはじめたきっかけは何でしたか?
DJ KOCO: 2011年の震災がきっかけです。地震で家のレコードの棚が崩れてきて、「俺は大切なレコードに埋もれて死ぬんか」と思いながら必死に棚を抑えていたのをよくおぼえています。それで棚を低くしたらレコードが入りきらなくなってしまった。それから7インチを熱心に買うようになった。で、7インチでDJをやってみたらむちゃくちゃ難しくて。それまでのヒップホップの12インチ中心のプレイにドキドキ感をすこし感じなくなっていた時期が重なったのもあって、7インチでのDJに火がついて、それを極めたいと思ったんですよ。
――当時、周りに7インチでDJをやる人はいましたか?
DJ KOCO: セラート(DJ用のソフトウェア)が出て以降、パソコンでDJをやる人が増えましたよね。ただ当時はそういうパソコンのDJに飽きはじめたNYのOG(オリジナル・ギャングスタ。「先輩」や「先達」を意味する)たちが7インチでDJするような流れがあって。もちろん、昔からそういうプレイをやっていたと思うんですけど。
――Biz Markieとかやっていましたね。それで7インチ・レコード専用のターンテーブルが作られたりもしました。
DJ KOCO: そうそう。NYにはNYのスタイルがあって、僕は僕なりのスタイルを追求しましたね。僕の根幹にはヒップホップがあるけど、いまやジャンルとか関係なくいろんな音楽をかけるし、そういうプレイがいろんな人たちに面白がってもらえたんだと思います。僕はJeff MillsのDJもすごいと思うし、ジャンルは関係ないですよ。
――KOCOさんのアグレッシヴなDJプレイにおいてはどのような機材を使うのかも重要ですよね。いま針は何を使っていますか?
DJ KOCO: ナガオカさんのM44Gを使っています。じつはナガオカさんの担当の方がわざわざ僕の家まで来て、テストをさせてくれて。僕がプレイしても針が飛ばないように。それで作ってくれたものなんです。
――それはすごい。ところで、今回リリースする7インチのB面の「Re-Create #02」は、昔風の言い方をするとメガ・ミックス物ですね。
DJ KOCO: はい。このB面は僕が大好きな、あるラッパー/ビートメイカーがプロデュースした曲へのオマージュです。「World's Famous」のB面の「Re-Create #01」も、僕が大好きなあるDJがプロデュースした作品へのオマージュ。どのDJのプロデュース曲へのオマージュなのかをNYの人で気づいた人はいました。そういう、わかってくれる人はわかってくれるという、自分のエゴをここでは出していますね(笑)。
――KOCOさんがDJをはじめたきっかけについてもあらためて伺ってもいいですか?
DJ KOCO: DJをはじめたのは90年代です。元々レコードを買うのが大好きで、レコードが集まったからDJをやってみようと。そういう順番です。で、やるのであれば上手い方がいいからすごく練習しましたね。
――90年代にレコードを買ったり、DJをしたりしている時代の印象的な記憶やエピソードはありますか。
DJ KOCO: MUROさんがManhattan Recordsの前の路上でミックステープを売っていましたね。『King of Diggin'』だったと思います。あと、MILOS garage(新宿の花園神社の裏にあったクラブ)でECDさんがDJしているときに、よくレコードをのぞいていましたね。ECDさんは当時の新譜のヒップホップのネタのレコードをすぐにかけていたから。いまは僕がDJしていても、みんなShazamで何の曲かを調べるけど、当時はスマホもインターネットもないから、直接本人に訊いたり、レコードを必死に見ておぼえようとしたりしていました。ECDさんはとても優しく教えてくれたのをおぼえていますね。でも、クラブの帰りに忘れちゃったりして(笑)。
――当時といまではご本人のレコードの買い方も変わりましたか?
DJ KOCO: 昔はヒップホップの12インチをメインに買っていて。しかも若くてお金もないし、レコード屋に行くと、棚の下のダンボールに入っている100円とか500円のレコードをまめに見ていました。インターネットがない時代は、そのレコード屋さんが価値のわからないものは、とにかく安く売られていたから掘り出し物もたくさんあって。僕は知らない曲がほしいし、知りたい人なんです。それは昔から変わらない。だから、試聴をしまくります。いまは買うものを決めて買う人も多いですよね。もちろん僕もそういう買い方もしますけど、決めて買うのか、行って探して買うのかは、大きく違いますね。
――いまのレコードやDJのカルチャーについて特に考えたり、思ったりすることはありますか?
DJ KOCO: とにかく好きなことを見つけてやるのがいちばんだと思います。僕自身が好きなことしかやれない人間なので(笑)。レコードはオタクの世界でもあって、レコードや音楽が本当に大好きな人たちと出会える文化。2019年にラスベガスであった「Technics7th」というイベントでDJしたときに、はじめてCut Chemistと会ったんです。その彼と久しぶりにニューオリンズで現場がいっしょになったとき、開口一番「お前のBiz Markieの7インチはどこで買ったんだ!?」って言われて(笑)。僕がCut Chemistの見たことのないレコードを持っていたから。そういうのをいきなり訊いてくるようなクレイジーな人がいる世界で、そういう人たちとつながれて本当に楽しいし幸せです。
DJ KOCO aka SHIMOKITA
東京・下北沢を拠点にワールドワイドに活躍し、7インチレコード(=45’s)を使用した唯一無二のDJ プレイが世界中から注目を集めるヒップホップ DJ=DJ KOCO aka SHIMOKITA。鍛え抜かれたスキルと生粋のヴァイナル・ディガーならではのセンス溢れる選曲を武器に、45’s による DJ プレイそのものを次の次元へと進化させた。そして、極限まで追求したそのミックススタイルは、年齢や性別、国籍、人種を問わず、体験した誰もが心から楽しめる最上級のエンターテイメントとして、世界中のヒップホップファン、音楽ファンを魅了する。
――ディスクユニオン下北沢店にはどれぐらいの頻度で来られますか?
DJ KOCO: 来るときは週の半分は来ます。ディスクユニオン下北沢の良さは、路面店で、空間が広くて、居心地の良いところですね。品揃えが良いレコード屋でも狭いとずっといるのが窮屈になってしまうので。
――いちばん最初に手にして購入したレコードが、Tony Lavrutz & Scruscru「Pela Internet」(※01)でした。これは目当てのレコードでしたか?
DJ KOCO: じつはちょっと前にディスクユニオンからの依頼で、今回と同じ「1万円購入企画」をやりまして(笑)。その映像を観た人が、「俺のレコードをスルーしやがった」みたいなことをストーリーに上げていたんです。それで聴いてみたらカッコよかったから、今日はあったら買おうと思っていました。しかも2枚あったので、2枚買いました。A面はブラジリアンなヒップホップ寄りの曲です。
――KOCOさんから見て、近年の7インチの中古の傾向などはありますか?
DJ KOCO: いま表に出てきている7インチの中古のひとつの特徴は、80年代のソウル、ファンクだと思います。昔は数百円だったレコードが何万円とかする場合もある。すごくわかりやすく言うと、ソウル/ファンク・バンドのDynastyのレーベルのソーラーのようなサウンドのマイナーなレコードが高くなっています。メロウなものが多いですね。
――さきほどプログレのレコードも見ていましたが、昔は触らなかったジャンルの棚を見るようになる過程もありますよね。
DJ KOCO: そうですね。昔はヒップホップの12インチばかり買っていました。
――The Brand New HeaviesがMain SourceとGrand Pubaとやった7インチ(※02)も買われていました。
DJ KOCO: Main Sourceが大好きなんですよ。いまはヒップホップの12インチはあまり買わなくなりましたけど、探して出てこないレコードは買いますね。このレコードは欲しかったけど、買い逃していたので、ちょうど良い機会だったので。
――KOCOさんとディスクユニオンとヒップホップと言えば、ノベルティや限定販売のミックスCDRやテープもいくつかあります。『A to Z』という、新宿のクラブミュージックショップ(現・新宿ソウル・ダンスミュージックショップ)限定のノベルティのミックスCDRや、『J DILLA BEATS』というJ DILLA縛りのミックステープがあったり。
DJ KOCO: ああ、そんなのもありましたね(笑)。JET SETやManhattan Recordsから声をかけてもらってやったりした記憶もあります。前からサンプリング・ネタのソウルやファンクも買っていましたけど、いまはもっとジャンル関係なく試聴をさせてもらって好きな音があれば買います。サンプリングで使えそうなレコードとか、DJで使えるレコードとか、いろんな観点から考えてレコードを選んで聴いて買います。
――Donovanの「Barabajagal」(※03)はどのあたりに魅力を感じましたか?
DJ KOCO: これと同じ日本盤のレコードを昔MUROさんがくれたんですよ。「Barabajagal」には良いブレイクがあって。だから、2枚目ですね。
――Average White Bandの「Cut The Cake」と「Person To Person」(※04)はどちらもヒップホップのサンプリング・ソースとして有名です。これも日本盤です。日本盤と海外盤を買うときの基準や判断にはどのようなものがありますか?
DJ KOCO: 7インチの日本盤は必ずヴァイナル・プレスなんですけど、アメリカ盤にはヴァイナル・プレスとポリスチレンを原材料にしたスチレン盤というのがあって。後者はプラスチックなので、硬くて、割れやすくて、スクラッチしたりするとすぐ削れて「サアー」ってノイズが入ってしまう。コツンと叩くとヴァイナルとスチレンでは音が違います。アメリカ盤がスチレン盤しかなかったら、日本盤やヨーロッパ盤を探します。日本盤のレコードは見栄えもいいから。でも、1、2周して、正直どちらでも良くはなっているんですけど。まあ、マニアの話です(笑)。
※01:Tony Lavrutz & Scruscru「PELA INTERNET」
※02:The Brand New Heavies「Bonafied Funk feat. Main Source / Who Makes The Loot? feat. Grand Puba」
※03:Donovan「Barabajagal」
※04:Average White Band 「Cut The Cake / Person To Person」
〒155-0031 東京都世田谷区北沢1丁目40−6
――ELLA RECORDS VINTAGEには来たことはありますか?
DJ KOCO: いや、今日がはじめてですね。
――こちらは完全予約制で、レコードを見せてもらって買うというかたちでした。すでに値付けは済んでいますが、値段がついていないので、KOCOさんが選んだレコードの値段をお店の方に調べてもらって買うという流れで、けっこうスリリングでした。
DJ KOCO: 値段がついてなくても売っていればなんとかなりますから大丈夫です(笑)。
――イギリスのグループ、STEREOLAB「Fluorescences / Pinball」(※01)の7インチに反応されていたのが興味深かったです。
DJ KOCO: STEREOLABはたまに、僕が面白いと思う音が入っているんです。だから試聴して面白い音が入っていれば、買おうと思って。曲単体でプレイするのをイメージしていたというより、サンプリングで使えるかもしれないし、プレイするにしても、そういう変わった曲をいかに調理するかが僕は好きで。僕はDJするとき、使えるレコードは何でも使いますから。
――ELLA RECORDS VINTAGEでは、購入はされなかったけど、KOCOさんが手にして試聴したレコードにもいろいろ面白そうなものがありました。例えば、NYのレーベル、Editions Makossaや、ジャマイカで設立されたWIRL (West Indies Records Limited)のものも試聴されていました。
DJ KOCO: Editions Makossaからはけっこう好きなレコードがいろいろ出ています。フェラ・クティのレコードも出していたりしますし。WIRLはカリプソのレコードなんかも出していますけど、とうぜんアーティストによって音がいろいろ違うから、聴いてみないとわからない。僕はラテンやクンビアも好きだけど、ウキウキするようなノリの音より、ダークなラテンやクンビアの方が好みで。そういう趣味もある。あと、まったくわからないけど、今回だったら、タイトルに「Super Cool」ってあるから試聴してみようとか、そういう探し方もあります。だから、なんとなく手を動かしてレコードをながめているのと、じっくり盤を見て探すのはまったく違いますよね。
――なるほど。
DJ KOCO: この前、ある土地に行ってレコード屋に行きたいと地元の人に伝えると、「(品揃えが)何も変わってないですよ」と言うんですね。でも、僕が行ってレコードを探していたら、2万円ぐらいのレコードが、380円で売っていた。そういうこともありますから。やっぱり行かないと買えないし、しっかり見ないと買えない。そういうことを痛感する出来事でした。
――センターにJBの写真のあるEarl Hooker / Big Boe & The Night Hawks 「I Feel Good / My Thing」(※02)は聴いて調べて、2007年のJBのカヴァーであることがわかりました。
DJ KOCO: A面がJBのカヴァー、B面がMarva Whitneyのカヴァーですね。買いませんでしたけど、Wu-Tang Clan 「C.R.E.A.M.」のEL MICHELS AFFAIRによるカヴァーとかもありました。こうした00年代のファンクや、ディープ・ファンクにしてもいまから15年とか20年ぐらい前のものになるわけですよね。いまから25年前は2000年で、2000年の25年前は1975年と考えると、2000年初頭や00年代の、当時「現行ファンク」と言われたようなものも、すでにヴィンテージになっていると言えるかもしれないですね。
――それと、オリジナル盤なのか、再発盤なのかを気にされる場面もありましたが、そこにはどのようなこだわりがありますか?
DJ KOCO: オリジナルと再発のどちらを買うかは、ある意味で自己満の世界ではあります(笑)。いまや再発でも音が良いレコードはいくらでもありますし、どちらをかけているかなんてわからないですから。僕もDJで再発の方が音がめちゃ良かったら、再発を使います。
――ヒップホップではBeastie Boysのヒット曲「Intergalactic」(※03)を買われました。
DJ KOCO: ビースティーのこの曲は意外にも7インチで持っていなかったので。
※01:STEREOLAB「Fluorescences / Pinball」
※02:Earl Hooker / Big Boe & The Night Hawks 「I Feel Good / My Thing」
※03:Beastie Boys「Intergalactic」
※04:Nadz / Shakira / Bam Stepper / Innocent Crew 「Reggae Buss」
※05:Isley Jasper Isley「Insatiable Woman」
〒155-0031 東京都世田谷区北沢1丁目45−39 チサンマンション北沢
――BLOW UPは、KOCOさんがかつて共にパーティもやっていたDJ/バイヤーの北村圭士郎 a.k.a. CHINTAMさんが店主をやられています。実店舗は2018年にオープンしています。
DJ KOCO: CHINTAMさんは元々大手のレコード・ショップでバイヤーをしていて、その前も渋谷のレコード屋で働いていたので、そのときからお世話になっています。CHINTAMさんは良い新譜を入れているので、BLOW UPには僕が買いそびれたレコードや知らないのがありますね。中古も見れば、何かしらほしいレコードが必ずある。基本、僕は行ってから見て、そのときの気分で買うときのほうが多いですし。
――せっかくですので、スペシャル・ゲストでCHINTAMさんにもお話をすこし訊きたいのですが、Organ barでKOCOさんとやっていたのはどんなパーティでしたか?
CHINTAM: ブラック・ミュージックがメインで、ヒップホップからソウル、ファンク、ディスコまでかかる「CRATES HUNTING」というパーティですね。
DJ KOCO: 名前がそのまんま(笑)。
CHINTAM: 2008年から2010年までの3年間、毎月平日にやっていて。いまやKOCOちゃんをはじめ、みんないっぱしになっているDJの人たちが毎月集っていたんです。KAZZMATAZZ、BOZMORI、FLOAT、珍盤亭娯楽師匠(当時Waterdamage)、COUTAといった面々です。2023年に「同窓会的に久々にやろうよ」ということで、KOCOちゃんも予定を合わせてくれて、ここでやりました。問い合わせの電話はあるし、当日入れない人もいるし、すごい盛り上がりでした。みんなは集まれなかったけど、やって良かったです。
DJ KOCO: あれは面白かったですね。
――KOCOさんの当時のプレイはどうでしたか?
CHINTAM: 我が道を行くスタイルや核となるものは変わっていないけど、選曲は変わりますよね。KOCOちゃんがアンダーグラウンド・ヒップホップをガシガシかけていた時期に、生音を混ぜながらプレイし始めたときは、みんなざわつきましたね。
――なるほど。BLOW UPではサルサやラテンなどを中心に試聴されて、最終的に一枚入魂でJohnny Zamot の「Chevere」(※01)というペルー盤の7インチを買われていました。センターに「Boogaloo」と書かれているように、ブーガルーの要素があります。KOCOさんは2024年に、MR.BONGOの企画でブラジルの7インチをセレクトしたボックスセットをリリースし、ミックスも出されています。ラテンやブラジル音楽への熱が近年高いのでしょうか?
DJ KOCO: 一昨年はじめて、DJでブラジルに行かせてもらって、サンパウロとか3都市を回って。それまでもブラジルの音楽は好きでしたけど、やっぱり行ってより好きになりました。AzymuthやMarcos Valleのライヴを観て、なんと本人たちにも会えたんですよ。しかもAzymuthのメンバーは僕のことも知ってくれていて。その後、Marcos Valleと、イギリスで行われたGilles Petersonのフェスでいっしょになったときに、「おぼえてる?」って訊いたら、「おぼえてる」って本当かどうかは知らないけど答えてくれました(笑)。彼らのライヴはエネルギッシュだし、盛り上げ方やエンディングに向かうやり方がすごく勉強になりますね。そういうパフォーマンスの面はDJ以外の人に勉強させてもらう機会が多いかもしれない。
――ブラジルのレコード事情はどうでしたか?
DJ KOCO: めちゃくちゃレコード屋さんがあります。僕はレコードがない国や町に行かないですよ(笑)。オファーをくれた人に「その町にレコード屋ありますか?」って訊いて、「ない」って言われたら、行くかどうかちょっと考えます。サンパウロはモールみたいなところにレコード屋が20軒以上か、もっとあって。そこはめちゃくちゃ治安が悪いんですけど、現地の人と行けばまず問題ない。去年は日本人だけで行きましたけど、レコ屋の人らが僕らのことを知ってくれているから大丈夫でした。ブラジル盤の7インチは全部33回転でコンパクトと呼ばれていて、LPと同じような尺で入っていたりする。だから、アメリカ盤の7インチでは削られてしまったブレイクがブラジル盤には入っていたりする。そういう楽しみもあるし、アメリカ盤で出ていない7インチがブラジル盤では出ていたりもするわけです。知らないことがたくさんあって、行けば発見があるのですごく面白い。
――レコードの世界は本当に奥が深いです。今日KOCOさんに密着させてもらって、その一端を垣間見させてもらいました。KOCOさんは今日どうでしたか?
DJ KOCO: 新しいのも古いのも買えたし、普段あまり見ないジャンルのところも見られて、発見があって良かったです。絶対レコード屋に行くと何かしらはあるから。それを探せるかどうかなんです。今日はそれを探せたから良かった。めっちゃ良い買い物ができました!
※01:Johnny Zamot 「Chevere」
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