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RECORD SHOP座談会 飲めるレコード屋編

RECORD STORE DAY 2023開催記念
RECORD SHOP座談会 飲めるレコード屋編

2023/4/21

マスクの緩和や外国人観光客の受け入れなどでコロナ禍の状況も変化しつつあるまさに過渡期とも言える2023年。昨年の「Drops」のような分散開催ではなく、例年通り開催されるRECORD STORE DAY2023だが、度重なる自粛要請や緊急事態宣言など、急な時流の変化とさまざまな不測の事態に右往左往させられながらも、全国各地のレコードショップは今日も試行錯誤しながら絶えずお客さんに良質な音楽コンテンツを届けようともがき続けている。
毎年恒例となったRECORD STORE DAY座談会だが、今年は炭焼き屋の一角でレコードショップを開かれている宮崎の”炭焼いそ川”五十川さんご夫妻、レコードバーとレコードショップを独自のバランスで両立させている福岡の”LIVING STEREO MUSIC BAR & RECORDS STORE”SOHKIさん、戦後のバラック小屋から始まった長屋の飲食店街に居を構える立飲み兼レコード屋”盤処呑処FRESH”松田さんにお集まりいただき、飲食とレコードショップという2本の柱で運営されているお店にスポットを当て、コロナ禍を経ての最近の動向や気になるお店のヒストリーをリモート形式でお伺いした。
音楽と飲食を通じて皆が集える場所をユニークなスタイルで模索しながら“音楽で地域に根付いていく”ということをテーマに日々地道に営業されている、一風変わったレコードショップのトーク・セッション。グラス片手にぜひご一読ください。

参加者
LIVING STEREO MUSIC BAR & RECORD STORE SOHKIさん
炭焼 いそ川 五十川健さん 五十川由紀さん
盤処呑処FRESH 松田知士さん

司会/進行/文:DJサモハンキンポー


── まずはそれぞれのレコ屋ヒストリー的なものから伺っていこうと思います。
レコードストアデイの店舗一覧でまず目に飛び込んできて気になったのが、”炭焼 いそ川”っていう店名で、どういうこと!?って気になってたんですよね。いそ川さんはどういう経緯でレコード屋を始められたんですか?

五十川 うちは宮崎の都城市にある15坪ぐらいの炭焼き屋なんですけど、コロナ禍でお店が営業できなくて、お客さまも来なくなっちゃって、アルバイトも全員やめちゃったんですよ。夫婦二人でこれからどう切り盛りしていくかっていう話をした時に、まずは店の改装だということになり、小上がりのスペースを削って、席数を少なくしたんです。で、改装してる時に妻が広くなったスペースにDJブース作っちゃえばって言ってくれて。


── いきなりDJブースとはすごいですね!

五十川 趣味でずっとDJはやっていて、コロナ禍に家でインスタグラムのDJ配信とかやってたんですよ。マンションに住んでるので、騒音が気になっちゃったり壁に向かってDJするっていうのがストレスになっていたのもあって。で、スピーカーや音響周りは自分たちの手の届く範囲のものを揃えて、通常営業時に周りの若いDJを集めて、1ヶ月に1回くらい「鑑賞会」というイベントを定期的にやり始めました。
昔からずっとレコードは買っていて、レコードストアデイでもweb通販開始になるまで待ってたりして、「これが欲しい、あれが欲しい、これは買えなかった」とか言ってるうちにまた妻に「あなたの好きなオススメ仕入れて販売すればいいんじゃない?」って言われて。それからそんなにたくさんのタイトルではないんですが、レコードの販売もするようになりました。


── それが何年くらい前ですか?

五十川 2年くらい前ですね。


── コロナで営業形態が変わったことがきっかけでレコード屋さんも始めるようになったと。

五十川 そうですね。普段はDJブースの横に商品を陳列してるんですよ。
で、お客さまが来て試聴して買って行ってもらうって感じですね。


── 食事目当てのお客さんで「お、レコードだ」ってなって手に取ってくれる方もいらっしゃるんですか?

五十川 いらっしゃいますね。レコードプレーヤーは持ってないんだけど、こないだ出た宇多田ヒカルさんのLPを見て、ジャケットが大きくてモノで欲しいっておっしゃって、一緒にポータブルプレーヤーも買ってくださった方もいらっしゃいました。


── 炭焼き屋は何年ぐらいやられてたんですか?

五十川 今年で21年目です。


── すごい!老舗ですね。

五十川 いやー、まだまだ先輩たくさんいるんで。


── 20年間自分のスタイルでやられてて、そこから営業形態をフレキシブルに変えてくってのはすごい挑戦だなあと思うんですけど。

五十川 結構妻の後押しがあって、やれやれみたいな感じで笑

五十川(由) このお店は主人がずっと地元でライフワークみたいな感じでやってるんですけど、地元ではDJとして仲間内から認識されてる存在なんですよ。ここ10年くらい地元のDJ達といろんな周りのお店を使ってDJをするっていう”MUSIC HALL”ってイベントとかもやってたんですけど、それも結局コロナでできなくなっちゃって。行政の方と一緒に大きなイベントもやったりしていたので、イベントを続けていきたい、っていう気持ちが私自身にもあって、お店をそういう場所にしちゃえばいいんじゃないかって思ったんです。
繁華街なので、音も気にしなくていいんですよ。ウーファー入れて結構音出しても全然問題ないので、照明とかもつけて、夜はクラブ化してる状況ですね。


── 最高です。

五十川(由) ミラーボールもついてるんで笑。夜9時からちょっとずつボリュームを上げていく感じですね。一応こういう張り紙もしてます。

五十川(由) 当店は夜9時を過ぎると音楽が大きくなりますのでご了承ください


── 普通逆ですよ笑

五十川 20代から70代までと幅広いんですが、音楽好きなお客さまが多いので、皆さん理解がありますね。


── お店は何時までやられてるんですか?

五十川 大体23~24時くらい、それを超えることもありますけどね。
多い時で60人くらいこの15坪に入るので、ギュウギュウでやってます。
こないだの3/20にMUROさんとMAGARAさんにうちのお店に来ていただいて、60人限定でイベントやったんですけど、ポスター貼る前にチケット完売で。


── 宮崎アツいですね

五十川 仕込み中もレコード爆音でかけたりして好き勝手やらしてもらってます。


── 同じく九州から、今日は福岡のLIVING STEREO、 SOHKIさんにも来ていただいてまして。

五十川 僕インスタフォローしてます!いつか福岡行った時行かなきゃなと思ってて。

SOHKI ありがとうございます。実は今回の企画でいそ川さんの存在を初めて知りました。去年自分のイベントでもMUROさんに来ていただいてて、MUROさんの投稿で「あ、都城なんだ」と思ってたらまさかこんなことをやっているとは笑。僕は出身が鹿児島で、都城は近いので伺うタイミング狙います。


── LIVING STEREOさんも元々飲食をやられてたんですか?

SOHKI 元々STEREOっていう50席ある広めのレストランバーが天神の真ん中にありまして。22年前くらいにできたDJブースのあるレストランバーです。コース料理を出したり、結婚式の二次会で使ったりする大きなお店で、隣にはイベントスペースのSTEREO side-Bって店もあったんですけど、STEREOを本店として、コーヒーを出すSTEREO COFFEや、音℃って塩焼きそばのお店を会社で展開したりしてて。本店のSTEREOがコロナで団体のお客さんが来れなくなって、家賃も結構高かったので、閉めちゃったんですね。最後の5年くらい私が店長兼、DJ兼、バーテンダーみたいな感じでやらせてもらってたんですが、本店のSTEREOにJBLのスピーカーとマッキントッシュのピュアオーディオを置いていて、それを保管しておくだけっていうのは勿体無いじゃないですか。そこからSTEREOのバーのところと、グループの一環でやっていたレコード店を合体させて、新しいお店を作ろうということになり、一昨年の11月にできたのが今のお店で、レコードショップ兼ミュージックバーという形態でやってます。


(バーカウンターは昼と夜の二つの表情がある。)


── 偶然にも2店舗ともコロナがきっかけで今の形態になったんですね。

SOHKI オープンしてすぐに緊急事態宣言が出てしまったので、お酒の提供は中止し、レコード店のみでやって、去年の4月に完全に復帰って感じですね。なので感覚的には始めて1年くらいの感覚です。
福岡はレコード屋さんもいっぱいありますし、音楽ゆかりのお店もいっぱいあるので、そこからイベントなり日々の営業をじっくりやってきたって感じですね。


── お酒飲むだけ、レコード買いにくるだけ、でもOKですか?

SOHKI もちろんです。レコードのみ買いに来る方もいますし、コーヒーを飲みにきた方が買ってみようかなって言ってレコードなりプレーヤーをその場で買っていかれることもあります。多分1年でプレーヤー100台は売れたと思いますよ。


(STEREO名物のエスプーマレモンサワー)


── マジすか!

SOHKI 入り口には青い回転扉、店内にはU時の大きなカウンターがあって入りやすいので、若い方もいらっしゃるし、県外や国外の方も毎日のように来られます。音楽やレコードの入り口にもしっかりなり得ているんじゃないかなと思いますね。


── 2本の柱で営業されていて、その中でどうやってお互いを魅力的に見せるかみたいな雰囲気づくりを徹底されてるんだなと思いました。

SOHKI なんでこういう感じのお店になったんですかっていう風に聞かれると、前のSTEREOってお店があったので、いたって自然なことというか。ゼロの状態ではなかったので、飲み物と音楽の相性がいいっていうのはもう重々わかっていたというか。その中でどういう形でレコードや音楽を楽しむか、音楽と飲み物を一緒に楽しむにはどうしたら良いかっていうのを追求してできたのがここかなっていう風には思いますね。かつ、割と音楽好きでもビギナーの方でも誰しもが楽しみやすい、そういうお店を心がけてやっております。


── 間口が広いですね。

SOHKI そうっすね。あと、マンションの一室なので、お店ではやってないんですけど、福岡の老舗クラブKeith Flackを中心にレコード出店もしながらMUROさんや須永さんをお呼びしたりして月1くらいでずっとイベントもやってます。そのイベントにお店の若い常連さんたちが喜んで遊びに来てくれるんですよ。DJイベントを通じて音楽やレコードにもう一歩踏み込んでもらえるみたいな感じの流れがありますね。


── お酒売ってレコード売ってパーティーもやって、いい流れができてますね。

松田 皆さんの後ろのレコード気になるっすね。LIVING STEREOさんの後ろには真っ赤なレコードが並んでますが、これはなんですか?

SOHKI ちょうどですね、カウンターの横の扉に貼ってあるフライヤーが赤だったので、それに合わせて全部赤いジャケにしようっていう。ちょっと前までは青で、季節で変えたりしてるんですけど。

松田 今うちはレーベル縛りでInternational Anthem関連が多いっすかね。この前までは春がテーマだったんですけど、飽きちゃって。
レコードは遊べるんでいいっすよね。五十川さんのところは?

五十川 先日教授が亡くなったので、YMOを飾って追悼ですね。これ聴きたいって言われたらかけてっていう感じで。これは私物なんですけど。

松田 私物をかけててこれ販売されてるんですかって言われることって結構ないですか?

五十川 あります!でも近くに中古盤屋さんがあるんで、そこで探してくださいって言います笑

松田 すげーわかります。


── 店のジャケディスプレイってそれぞれ全然違って面白いっすよね。
松田さんが今の立ち飲み屋兼レコード屋を始めた経緯を教えてもらえますか?

松田 うちは広島なんですけど、広島に当時新譜を売ってるお店が少なくて、物足りなさは感じていて、誰かやってくんないかななんて友達とよく話してたんですけど、結局自分でやるしかないってなって。やるにはどうしたらいいかって考えた時に、アルバイトやりながらもレコード屋をやってる方もいたりして、だったら店の中でアルバイトをすればいいんじゃないかっていうところから始めました。レコードを売るために酒を売る、レコードを仕入れるために酒の売上を投資するっていうスタンスですね。


── 酒がレコードになっていくわけですね。

松田 そうですね。皆さんからいただいた酒代がレコードに変わっていくという。今は結構お酒も揃ってるんですけど、最初の方はこんなに種類もなくて。酒屋という営業しながら自分もどんどん酒好きになっていって、面白いなあと思うっすね。
同じ場所にバイト先を作ったっていうスタンスなんで、「何屋なんですか?
」ってよく聞かれるんですけど、周りも飲食店が多い場所なんで、「レコード屋です」って答えますね。レコードより酒の売上の方が全然多いのが現状なんですが。。。でも結構自分が飽き性なんで、レコードだけ売ってたら飽きちゃう気はしますね。レコードだけだったらレコード好きな人とは話せると思うんですけど、もうちょっと違う角度の人と話をしたり、そういうところからヒントを得たりしてるので、結構今はいいバランスで出来ている気がしますね。


── お店始めてどれくらいですか?

松田 今年の夏で7年ですね。まだ小学生くらいですかね。


── 緊急事態宣言中はお店を閉められていた感じですか?

松田 そうっすね。レコードは新譜が入って来るんで、売らなきゃいけない。自分も結構問い合わせたりしたんですが、飲食は禁止、レコード販売はできるっていうことだったんで、飲食の販売はせず、レコード販売はするっていう形で営業してました。
もし飲食だけだったらそこで今までよく会ってた人とも会えなくなるじゃないですか。きついと思うんですけど、レコード買いに来る友達だったり、遊びに来る友達と話したりはできたんで、リスクヘッジじゃないですけど、こっちが苦しい時はこっちで補填してみたいな、そういうバランス感も面白いなと思いますね。


── 僕もまさにライブとかDJで元々ある程度生活してたんですけど、コロナになってからそういうの全部なくなって。でも自分でレーベルやったり出版業やったりしてて、いくつか柱があって本当によかったなっていうことを今回初めて実感したというか。

松田 ほんとそうっすよね。時代の流れ的にもそうなのかもしれないっすよね。ちょっと前は職人的な一つのことだけっていうスタイルが主流で、それも美しいですけど、やっぱりリスキーというか。

SOHKI うちもFRESHさんと一緒で、時短中はレコードのみを販売してお酒は出さないっていう感じでやっていたので、さっきおっしゃっていたのはすごくわかるというか、人の流れが絶えないというのは大きいなと。お客さんたちにとってもそうだったみたいですね。行ける場所があるっていう。

五十川 うちもそうですね。時短中は早い時間からオープンして、レコード回したい子がいたら遊びに来なって言って。飲食メインなので、そんなにたくさんお客さんも来るわけじゃないんですが、20時までの営業で19時までしかお酒が出せないので、お客さんは飲みたいんだけど、お酒を出せないというのが逆に辛かったですね。来てくれるのは嬉しかったんですけど、みんなお酒飲んだら調子良くなっちゃって、まだ帰りたくねえ、とかなっちゃって。

松田 めっちゃわかります笑

五十川(由) うちはテイクアウトもやっていたので、待ってる間にDJ聴いたりって感じでした。みんな息苦しく感じていた中で、ここに来たら誰かに会えるっていう場になっていて、人に会えてよかったっていう風にみんな言ってくれてたので、臨機応変に場所としてそういう感じで機能できたかなと思います。


── 人が集まれる場所を作って、その流れを絶やさないっていうのがすごく重要なことだったと。

五十川 緊急事態宣言では人を集めるなって言われてましたからね。制限もすごくあって、なかなかきつかったですね。


── 状況もだんだん緩和してきて、外国人観光客も受け入れられ始めて、今はどうですか?

五十川 都城は観光で来られる韓国の方がものすごく多いです。びっくりするくらいたくさんいらっしゃいますね。

SOHKI うちはかなりそれが強いというか、国内国外限らず、観光の方がすごく多くて、海外の方も毎日のようにいらっしゃって、もちろんレコード目当てで来られる方もいらっしゃいますし、体感的にはレコードが聴けるミュージックバーみたいなところにみんな興味があるんだなっていうのは感じます。アジアに限らずヨーロッパの方とかもいらっしゃいますし、そういう方にどうやって調べたんですかって聞くと、どうやらレコードバーみたいなものがキーワードらしい。日本発祥のリスニングバーみたいなものが海外にもいっぱいできてますもんね。


── ミュージックバーって日本発祥なんですか!?

SOHKI そうなんですよ。レコードを聞くことがメインというか、レコードを聞くことを重視したバーみたいな感覚は日本発祥みたいですね。ジャズ喫茶の流れから来ていて、ロンドンにジャズ喫茶をオマージュしたお店があったり、LAにStones Throwが作ったまさに日本にありそうなミュージックバーがあったりとか。


── 行きましたそこ!ブースがあってカウンターがあって、これ見たことあるな、って感じだったんですが、そういうことだったんですね。遊びに行った時DJがY.M.O.かけてましたね。

松田 みんなそういうのがめっちゃ好きっぽいっすね。


── 外国人観光客の方達が喜んで来てくれてる場所になってるってことっすね。

SOHKI そうっすね。みんな国産ウイスキーを好んで飲まれます。

松田 わかります。うちも海外の方に高級ウイスキーの響頼まれて、「どうやって飲む?」って聞いたら「コーラ!」って言われて、「ウソ〜!?」ってなったことあります笑
うちはどっちかというと街中でも静かな方だとは思うんですけど、広島もすごく人が多くなってきて、観光の方も多いんで、似たような状況だと思いますね。レコードを手に取ってかけてっていう行為が、「懐かしい」っていう人もいるし、「新しい」っていう人もいるし、やっぱデカさと手に取れるっていうのが面白味の一つな気がします。場所取るっすけどね。

SOHKI ほんとですよね笑


── お店のレコードと飲食の広さの割合ってどれくらいですか?

SOHKI うちはレコードスペースとバースペースが完全に1対1でパックリ分かれていて、どっちかじゃなくてどっちもしっかりっていうバランス感覚がうちのお店の一番の特徴かなと。

松田 うちとか6畳くらいの二階建ての長屋なんで狭いんですけど、ドアを開けたらいきなり階段で店内にカウンターがあって、壁一面レコードみたいな。レコードの割合の方が若干多いですけど、レコード置きすぎると人が入るスペースがなくなるんで、臨機応変にって感じっすね。

SOHKI 広島駅側ですよね?

松田 そうっすね。駅の横の戦後すぐに川沿いに建てられたバラックになってるめっちゃ狭い通りなんですけど、 車も通れないみたいな狭い筋が4〜5つあって、そのうちの一軒なんで、できる環境を使ってって感じですね。


── 2階もお店なんですか?

松田 はい。狭い階段を上がっていくとソファと机が置いてあって、ここでゆっくりもできるけど、ちょっとレコード溢れてますよみたいな。在庫だったり自分の私物のレコードを置いてますね。


── 長屋を改築したレコード屋って異様なシチュエーションですね!

松田 面白がってくれるのはいいですけどね。でもいつまでもあるようなものでもないだろうし、そういう制約含めて楽しんでいくというか、ギャップがあった方が面白い。

SOHKI 商売でやっている以上はものすごく制約ってあると思うんですけど、その中でなんとか理想と現実を埋めていくというか、それが複合的な場所にした理由であると思うし、それを成り立たせるために頑張ってるっていうのは皆さんあると思いますけどね。

五十川 僕のところは改装して客席は減らしました。
ちょっといいですか、店内を見てみてください。
(炭焼き屋の暖簾の入口をくぐって)


── ああ、もう完全に焼き鳥屋ですね。

五十川 小上がりの座敷だったところを改装して半分DJブースにしました。

松田 いいっすね、贅沢な焼き鳥屋さんですね。


── ぶっ飛んでますね。

五十川 知り合いのアーティストに絵を描いてもらったりとか、ウーファー入れたりとか。ウーファーの上にいも焼酎がボトルキープしてあります。


── だんだん飲みたくなってきましたね笑

松田 いも焼酎にしっかりベース聞かせておいてください。ベース熟成笑


── ここからストアデイのことについても触れようかなと思います。これまでどんな形でストアデイに関わって来られたかお聞きしたいんですが。

SOHKI うちはレコード屋単体で営業してた頃からストアデイは参加させていただいてて、その時はお店も小さかったので、僕らが好むものをセレクトして入れるという感じでしたね。去年はお店が始まってすぐだったので、様子見という感じでしたが、今年は全開ですね。30タイトルくらい入れて、お店が週末だけ2時までやってるんで、0時きっかりに解禁という感じで、お酒配ったりしようかなとか。

松田 うちは特に何も変わらずっすね。あ、今日じゃったんだ、みたいな。店が駅から近いんで、レコード屋の帰りに寄ってくれる感じっすね。来てくれるお客さんからどこどこを回ったみたいな話聞いて、うちは平常運転です。

五十川 うちもたくさんは仕入れられないので、僕のセレクトって感じですね。店に置いてるストアデイの冊子を見たお客さんから「これも欲しかった」って言われるんですけど、予約が取れないんですよね。。。


── そこらへん難しいところですよね、、、
今年のストアデイでプッシュしてるタイトルがあればご紹介いただけますか?

五十川 僕は満島ひかりさんと三浦大地さんの『eden』はプッシュしようと思ってます。アートワークを担当したHAMADARAKAさんって双子のアーティストがいるんですけど、2019年に都城で個展を開催されてうちにも遊びに来てくださったんですよね。都城にもたくさんファンがいるので。

SOHKI 佐藤千亜妃さんやkojikojiさんなどの上質なポップスというか、そういった内容がうちのお店のお客様と相性が良い気がします。加えて今回は輸入盤に良い作品が多いなと思っていて、CELESTEのいわゆる高騰してたEPに新曲を加えてリリースされる『Lately EP 12”』、世界的にもストアデイの看板になっているThe 1975のライブ盤『Live With The BBC Philharmonic Orchestra』、このあたりですかね。

松田 今必死でカタログ見てたんですけど笑。自分が気になるのは深田恭子さんの『イージーライダー』、LINDBERGの『今すぐKiss Me』っすかね。
最近CDでしか出てなかったやつがレコード化されるのが結構好きで。ただ、CD用からアナログ用にきちんとリマスタリングされてるタイトルを大切にしたいっていう気持ちはありますね。やっぱレコードにすればなんでも良いってわけじゃないじゃないですか。聞いてみないとわかんないんですが、仕入れてる側からしたら音悪っ!っていうのはお客さんに申し訳ない、みたいな気持ちになるんで。リマスタリングって書いてあっても結局針落とさないとわかんないんで、怖さもあるけど、そこに愛があればやった!嬉しい!みたいにはなりますね。


── この音質でよくGO出したな、みたいなのもたまにありますよね。

松田 何でもかんでもレコードにすりゃ良いっていうのもだいぶ落ち着いてきた感はありますけどね。ある程度一周したというか。
それをわかってて売るのも別に騙してるわけじゃないんですけど、なんか後ろめたいんで、売るときに「それあんま音良くないよ」ってちゃんと言います笑

SOHKI ストアデイは輸入盤を結構見てて。たまに海外ミュージシャンなんだけど、ジャパンエクスクルーシブみたいな感じで出すタイトルあるじゃないですか。そういうのももっと良いラインでやってほしいなとは思いますけどね。


── それこそLIVING STEREOさんがレーベル始めるとか

SOHKI そうっすね。僕個人ではレーベルもやっていて、そういうのも視野に入れてはいるんですが、まずは福岡の地元のミュージシャンからスタートして、うちのレーベルからリリース、リコメンドして売るっていうのをやっていきたくて。

松田 地元の人のレコードが地元の店にあるっていうのは良いっすよね。そこは僕も目指しているとこというか、なんなら国内盤のコーナーに広島県コーナーがあったりとか、それぞれの店にも福岡県コーナーや宮崎県コーナーがあればいいっすよね。そこまでいくのに時間はかかるかもしれないですけど。お店が増えたりアーティストが増えれば意外と早くそうできるかもしれないし。


── レコード兼飲食店でレーベルもやってるっていうのが理想の形だなって思いますね。レーベルとか有象無象にあって乱立してた方が面白いだろうし。

SOHKI インディペンデントに自分達で作っていくっていうのが我々ローカルの目標というか。うちのお店を目指して福岡に来ていただきたいですし、レーベルとかレコードに関してもうち単体と海外との直接のやりとりっていうふうにして行きたいので、ストアデイに限らずイベントとかも他の場所ではできないみたいなことを続けて行きたいっすね。


── カルチャーを次に繋げていくっていう点においても、周りの近い友人とかがリリースしたりレーベルやったりしてると、みんな刺激になるだろうし。

松田 うんうん。焼き鳥屋でもカフェでも飲み屋でも、生活にもっと身近になっていったらいいっすね。もっともっとなれる気がします。

【LIVING STEREO】
■住所 〒810-0022 福岡県福岡市中央区薬院2丁目18-10 KSマンション102
■営業時間 13:00-0:00 (金・土は深夜2時まで)店休日:木曜日
■店舗紹介 バーカウンターを併設した福岡市、薬院のレコードショップ。 音響にはJBLのスピーカーとMACKINTOSHのアンプを使用した空間。SOUL,JAZZ,ROCK,CITYPOPを中心にいつまでも色褪せない普遍的な音楽をテーマにレコードを取り扱っております

【炭焼 いそ川】
■住所 〒885-0079 宮崎県都城市牟田町10-11アレザビル一階(JR西都城駅から徒歩10分)
■営業時間 日月店休+不定休ありご予約はお電話にてお問合せください。
■店舗紹介 居酒屋兼レコードショップです。購入頂いたレコードもその場でBGMとしてお掛けしますよ。気軽にお声掛け下さい。

【盤処呑処FRESH】
■住所 〒732-0821 広島市南区大須賀町10-7
■営業時間 月火 定休+不定休 18:00頃より回転
■店舗紹介 広島駅西の路地裏で、呑めるレコード屋を営んでいます。是非、一度、お越し下さい!

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